光久会が介護事業を始めて令和4年3月末で丸10年が経ちました。

当初は介護老人保健施設と併設の診療所、通所リハビリテーションとして船出し、この10年間で少しずつ成長を果たしてきました。現在は「はるのケアセンター居宅介護支援事業所」「通所介護みのり」「住宅型有料老人ホームひいろ」「訪問介護ここは」「認知症対応型共同生活介護グループホームふなぎら」「居宅介護支援事業所すみれ」を展開しています。

2000年に介護保険法がスタートし、20年以上が経ちました。この介護保険法が唱えているのは「自立を支援する」ことです。しかし、私たちはいまだに「お世話する介護」から抜け出せていません。

介護保険サービスを使う高齢者は何らかの支援が必要です。そのため「お世話する介護で良いのではないか」と考える方も多いことでしょう。ですが「お世話する介護」の実情は、本来は利用者様自身でできることを効率や安全の確保という理屈のもとに取り上げてしまっているのです。

・ゆっくりであれば、自分で着替えることができる
・時間をかければ、自分で食事ができる
・時間はかかるが、自分でトイレまで行ける
・河原を歩くのは危険だが、大好きな釣りをしたい
・腰が痛くなるかもしれないが、畑仕事がしたい
・塩分過多になるかもしれないが、大好きなラーメンをスープまで飲みほしたい

これらは事業者側にしてみれば「非効率」で「危険」といえるかもしれません。ですが、多くの人は「できれば人の世話にならないようにしたい」「多少のリスクはあっても好きなことをしながら生きたい」と考えているのではないでしょうか。少なくとも私はそう考えます。

利用者様の「こんな人でありたい」「こんな生活をしたい」「こんな人生を歩みたい」、そんな「声」に耳を傾け、一つでも二つでも具現化をする。さらに志を持つ職員を育てていく。これらが積み重なってひとつの「品質」となっていくと考えています。

光久会のこれまでの10年、サービスの種類は増え、地域を支える基盤を整備することもできました。しかし、各サービスの「品質」は、まだまだ発展途上の段階です。
そして、介護サービスの本質を追い求めながら次の10年へ。セカンドステージへ移る光久会は、サービスのさらなる「品質向上」を目指していきます。

医療法人社団 光久会 理事　遠藤 聡